世界の絶景温泉

世界の見知らぬ温泉を探して旅しています

C3 海外温泉 お薦めの国 ①パッケージツアー

 「海外の温泉、どの国がおすすめですか」という質問をよく受けます。温泉だけが目的なのか、観光のついでに温泉も行きたいのか、レンタカーを利用できるのか、鉄道やバスで旅したいのかなどによって答えは異なりますが、私なりにまとめてみました。

 まず今回はパッケージツアーに参加する場合を対象としました。全行程に添乗員が同行し、交通手段も宿泊施設も手配済というパッケージツアー。海外が不安という人には安心な旅行スタイルです。パッケージツアーで「ある国」を旅する場合、ほぼ必ず含まれているという温泉には次のようなものがあります。

 

(1) トルコ(パムッカレ)

 トルコを周遊するツアーで、世界遺産に登録されている石灰棚のパムッカレを含まないものはほとんどありません。ただ、パムッカレの見学にどれだけの時間を割いているのかが重要です。滞在時間の短いツアーですと、石灰棚を見下ろして周辺の遺跡を見学して終了となってしまいます。年々湧出量が減って空っぽの「棚」が増えているパムッカレですが、足湯程度は楽しめます。また近くのアンティークプール(パムッカレ温泉ともいう)は古代ローマ時代の遺跡が沈む大きな露天風呂。こちらはとても快適な温泉入浴を楽しめます。足湯やアンティークプールでの入浴が含まれるかどうかはチェックしておきたいところです。

 また、パムッカレから5キロのカラハユットは、鉄分を含む茶系の温泉が湧く巨大な温泉地です。パッケージツアーの多くはカラハユットで一泊するので、カラハユットでの温泉入浴も可能です。ただ、パムッカレは広大で日陰もないので、暑い日中を避けて夕方に訪れるため、カラハユット到着は夜というプランが多いです(逆に朝早くに訪れるツアーもあります)。トルコ周遊ツアーはスケジュールが非常にタイトなので、翌朝は早めの出発になります。温泉をゆっくり楽しむというより、さっと浸かるという感じでしょうか。

左:パムッカレの石灰棚(残念ながら湯量は減少しつつある)
右:古代ローマの遺跡が沈むアンティークプール
左:カラハユット パムテルマルホテルの人工石灰棚の露天風呂
右:町の中心のロータリーには石灰華ドームのオブジェがある

(2) アイスランド(ブルーラグーン)

 極北の国アイスランドは夏の白夜、冬のオーロラ観光で有名ですが、国中で温泉が湧いています。トルコに比べてツアーの数は少ないものの、有名なブルーラグーンでの入浴体験を含むツアーが多くあります。オーバーツーリズム対策として、ブルーラグーンでは事前のウェブ予約が必要になっています。混雑する夏場にいきなり訪れて入場できずにがっかりという個人客も多いようですが、ツアーであれば確実に入館できて安心です。

 また、アイスランドでは、ゴールデンサークルと呼ばれる3つの有名観光地を巡るコースが人気です。ゲイシールの間欠泉、グトルフォスの滝、シンクヴェリトル国立公園の3つですが、ゲイシールでは、噴出間隔が約10分と短く、待ち時間の少ないストロックル間欠泉の見学が含まれています。入浴はできませんが、見て楽しむ巨大な温泉です。このほか、アイスランドを一周するようなツアーではほかにも温泉観光が含まれている場合があります。ブルーラグーンとゲイシール公園以外に温泉が含まれているどうかをチェックしてみましょう。

左:とにかく広大なブルーラグーンの露天風呂
右:ストロックル間欠泉は驚くほど近くで見学できる

(3) 台湾(北投温泉ほか)

 日本から近い台湾は食事もおいしく日本人に人気の観光地です。環太平洋火山帯に位置するため、台湾の全土にわたって温泉が湧いています。中でも、北投(ペイトウ)温泉は台北市内から30分ほどで行ける便利な温泉です。日本統治時代の面影を残す古き旅館や共同浴場から、うたせ湯やジャグジーなどを備えた屋外温泉施設、さらには超高級ホテルまで多彩な温泉施設があります。2010年には石川県和倉温泉の加賀屋が、日勝生 加賀屋を開業しました。台湾を訪ねるツアーの中には、北投温泉で一泊するものがあるので探してみましょう(格安のフリープランの場合は、台北市内のシティホテルのみということが多いです)。ほかにも、2019年に星野リゾートが「ほしのや谷関(グーグァン)」を台湾中部の谷関温泉に開業して話題になりました。これらの宿に泊まって、贅沢な一日を過ごすのを旅の目的の一つとしたツアーもあるようです。

左:北投温泉の膨大な湯量を支える源泉の一つ地熱谷
右:日本と異なる漢字もあるが、大体の意味はわかる北投温泉の看板

(4) その他

 その他、ドイツのバーデンバーデン(フランクフルトから鉄道で1時間半)、タイのサンカムペーン(北部の主要都市チェンマイの郊外)、カナダのアッパーホットスプリングス(カナディアンロッキー観光の拠点バンフのロープウェイ乗り場近く)などを訪れるツアーがありますし、次回紹介するハンガリーの首都ブダペストの温泉も有名です。飲泉が主体のチェコのカルロヴィバリやフランスのエヴィアンなどを含めば、温泉地を訪れる海外ツアーは数多くあります。