世界の絶景温泉

世界の見知らぬ温泉を探して旅しています

C5 海外温泉 お薦めの国 ③温泉がメインの旅

 前回に続き、海外で温泉を巡るならここがお薦めという国を紹介します。今回は、観光旅行のついでではなく、温泉そのものをメインの目的として出かける場合のお薦めです。

 

(1) ニュージーランド

 環太平洋火山帯に位置するニュージーランドには100を超える温泉があります。特に北島のロトルア周辺に集中しています。日本からのフライトでオークランド空港に着いて国内線に乗り継げば、ロトルアまでは45分です。ニュージーランドの道路は日本と同じく車が左側通行。ロトルアは人口も少なく道もわかりやすいので、海外でのレンタカーデビューに最適な場所です。

 ヨーロッパ人がニュージーランドを「発見」する以前から、マオリと呼ばれるポリネシア系の人々がロトルア周辺で暮らしていました。彼らは温泉を暖房、調理、入浴、療養などに上手に利用しました。今日でも、ロトルアではマオリの暮らしの一端をかいまみるショーを見学できますし、地熱で調理した料理も楽しめます。また、ロトルア湖の南岸のガバメント・ガーデンには近代のロトルアの開発の歴史などを物語る施設が保存されています。

 ロトルアから車で南へ80キロのタウポまでの間は、温泉がまさに鈴なりで、両都市を結ぶ国道5号線の別名は温泉街道。素朴な野湯が多くあり、温泉好きにはたまりません。また、オークランドからロトルアまでは車で3時間程度ですので、海外での運転に慣れたら、復路はオークランドまで走って車を返却というプランもあります。もちろんロトルアはニュージーランド有数の観光地なので、現地で利用できるオプショナルツアーも豊富。専用車(運転手つきレンタカー)の手配も簡単です。このため、レンタカーを利用しない人でも十分に楽しめる温泉地です。

左:ロトルアを代表する日帰り温泉ポリネシアンスパ
右:ロトルアでは随所で噴泉が湧いている
左:温泉の歴史がわかるロトルア博物館。耐震工事の完了が待たれる
右:ロトルア近郊のケロシンクリークは川自体が温泉

(2) タイ(クラビ、バンコク、チェンマイ)

 東南アジアで人気のタイ。温泉のイメージはないかもしれませんが、全国で温泉が湧いています。しかも、観光客の多いタイでは、各都市からのオプショナルツアーが充実しているので、それぞれの都市を起点とした温泉旅が可能です。例えば、南部のビーチリゾート、クラビ。町から1時間もかからない場所にクロントムという石灰棚温泉があります(別名:ホットウォーターストリーム)。豪快な湯の滝での最高の入浴が楽しめますし、町の郊外には温泉付きのホテルもあります。

 首都バンコクから行くヒンダー温泉も人気です。第二次大戦中に日本軍が開発した温泉で、川沿いの露天風呂に浸かることができます。映画「戦場にかける橋」で有名になったクワイ川鉄橋が道中にあるので、合わせて見学するツアーが人気です。北部の古都チェンマイの周辺は温泉の宝庫です。もっとも有名なサンカムペーン温泉はいつも地元の人たちで混んでいます。欧米人に人気のパーイには温泉の流れる湯川があり、ポーンドゥワットでは猛烈な噴泉が湧いています。現地在住の日本人有志が設置して管理しているチェンダオの土管温泉も一度は浸かってみたい温泉です。おいしいタイ料理とともに温泉巡りを楽しみたいものです。

左:クロントム温泉ではやや黒ずんだ石灰棚に浸かれる
右:ヒンダー温泉では隣の川と温冷交互浴が楽しめる
左:サンカムペーン温泉は高温の湯を利用したゆで卵が人気
右:日本人有志が設置したチェンダオ土管温泉。一浴に値する

(3) アメリカ

 アメリカは環太平洋火山帯に位置する国ですので、西部を中心に数多くの温泉が湧いています。以前にアメリカの温泉ガイドブックを紹介しましたが、州別の温泉ガイドブックも出版されていて、温泉に関する情報が豊富です。ただ、アメリカは完全な車社会。広い国土に点在する温泉を巡るには車が必須です。専用車をチャーターすることができないわけではありませんが、一日10万円以上が相場。グループで割り勘でもしない限り、かなりの高額です。旅慣れているならば、現地からブログで情報発信している日本人に相談してみる手もあります。私自身、小遣い稼ぎ程度で運転してくれる人を紹介してもらったこともありますが、信頼できる人かどうかの見極めはあくまでも自己責任ですので、慎重に判断してください。

 レンタカーに慣れた人は別ですが、そうでもなければ、サンフランシスコやロサンゼルスのような大空港から、いきなり片側4~5車線の道路で運転するのは至難の業です。一度国内線に乗り継いでローカルな空港に着けば、人口も少なく道もわかりやすいです。広大なアメリカのローカル空港は、北海道の帯広、旭川、女満別、根室中標津などをイメージしてくれればよいと思います。温泉巡りにお薦めの州はカリフォルニア、ネヴァダ、コロラド、ワイオミング、ユタなどの州です。

 温泉好きならぜひ訪ねたいのがワイオミング州のイエローストーン国立公園です。石灰棚、噴泉、湯の川、泥湯、色鮮やかな温泉池など、温泉の作り出す多彩な造形が楽しめます。アメリカの温泉ガイドブックの記事をご参照ください。

 ハワイ州のハワイ島にも温泉が点在し、レンタカーでの旅にお勧めだったのですが、2018年のキラウェア山の大噴火が島の南東部の温泉地帯を襲い、多くの温泉が閉鎖されてしまいました。復活が待たれます。

左:イエローストーンで入浴可能なボイリングリバー
右:噴火で閉鎖される前のハワイのアハラヌイ温泉

 その他、前回までに紹介したアイスランドやトルコ、インドネシア(バリ島やジャワ島)も温泉目当ての旅行先としてお薦めです。