マルイア温泉 Maruia Hot Springs
・ハンマー温泉に立ち寄って
ニュージーランドは日本と同じく環太平洋火山帯上の島国。北島と南島という2つの島がメインですが、温泉が多いのは北島です。最大の温泉都市ロトルアから南へ80キロのタウポまでの間は「温泉街道」と呼ばれるほど、多くの温泉が集中しています。一方、南島にも魅力的な温泉が点在していて、今回は和風宿のマルイア温泉を紹介します。
なお、ニュージーランドは日本と同じく車は右ハンドルで左側通行。道路状況はよく、交通マナーも申し分ありません。海外でのレンタカーレビューに最適な国の一つです。まずは、南島最大の都市クライストチャーチ空港で車を借りて、基幹国道の1号線を60キロほど北上します。ワイパラで南島を横断する国道7号線へと左折して、140キロ走るとマルイア温泉に到着です。空港からの所要時間は3時間ほど。なお、途中でハンマースプリングスという温泉を通るので立ち寄れば、ハシゴ湯を楽しめます。
ハンマースプリングスは巨大な温泉テーマパークで、10を超す大小さまざまな屋外プールが広い園内に点在しています。大半のプールは温泉水を使っているのですが、塩素系の消毒剤のニオイが強く、少し興ざめです。「本物の温泉」に浸かりたい人は、冷水プール脇の目立たない場所にある「サルファープール」を探しましょう。ここだけは塩素消毒をしていない源泉100パーセントの温泉を使用していて、強い硫黄臭と肌がツルツルするようなアルカリ感を体験できます。
・原野の中の一軒宿
目的地のマルイア温泉は原野にポツンと建つ1軒宿。マルイアは「山深い谷間」を表すマオリ語とのこと。狩猟やヒスイ採りのついでに、温泉で休息をとっていたとの言い伝えが残ります。
宿のオープンは1991年。当時、新潟県の赤倉温泉「ホテル秀山」のオーナーが惚れ込んで建てたというだけあって、和風情緒を感じる造りです。緩やかな下り斜面に宿泊棟や浴場が並んでいますが、屋根は黒で統一され、芝生のグリーンとのコントラストが鮮やかです。その先には、マルイア川の河原が広がり、フライバーグ山が聳え立っています。屋根付きの渡り廊下を下っていく風情はまさに日本旅館のよう。
突き当りを右に進めば内湯、左に進むと露天風呂の入口があります。まずは露天風呂へ。水着着用の混浴施設ですが、自然石を配した岩風呂なので寛げます。湯はほぼ透明ですが、はっきりとした硫黄臭を感じます。外来利用も可能ですが、宿泊客は24時間入浴できます。周囲に人家もなく、電灯も暗めなので、好天ならば南半球の満天の星空を眺めながらの入浴が楽しめます。
つぎは男女別の内湯へ。屋内とはいえ、天井が高く窓も大きいため広々とした感じがします。浴槽は2つ。手前の小浴槽はやや熱め。正面にある長方形の大きなヒノキ風呂は少しぬるめです。浴槽の縁に頭を載せて、ちょうどよい加減の湯に浸かっていると、外国にいることを忘れてしまいます。洗い場には座椅子に風呂桶、シャワーが完備されているのも日本人にはありがたく感じます。
一般的な客室のほか、戸建てのバンガロー、キャンプグラウンドなどを備えているので、好みのスタイルで宿泊できます。豪華なホテルスティを望む人には適しませんが、温泉好きの日本人なら、心地よい宿だと思います。