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A21 海外の温泉付きホテル④ ニュージーランド(その2)

ニュージーランドの温泉宿

 前回は、南島のマルイア温泉を紹介しましたが、今回はもう少し広範なエリアについて説明します。ニュージーランドの宿泊施設には様々なタイプがあるので、使い分けが重要です。

 

① ホテル 

 オークランドやクライストチャーチなどの大都市には、名の通った高級ホテルが多くあります。最大の温泉郷であるロトルアのような都市でも、快適に過ごせるホテルはいくつもありますが、資源保護の観点から源泉利用が制限されているため、温泉付きのホテルはあまりありません。

 ホテルは泊まるだけで、温泉は「ポリネシアン・スパ」などの入浴施設で楽しむのが一般的ですが、どうしてもホテル内で温泉に入浴したい場合は、ノボテルNovotel Rotoruaなど、温泉を備えたホテルを選ぶ必要があります。

 なお、「サーマル・プールThermal Pool」と書かれていても温泉とは限りません。これは水を温めたお湯、すなわち温水プールを指すのが、ニュージーランドでは一般的なのです。温泉プールと誤訳しているガイドブックや旅行パンフレットが多くあるので注意してください。温泉プールは「Mineral Poolミネラル・プール」またがは「Hot Mineral Pool」と表記されていることが多いので、チェックしてみてください

左:ロトルアで温泉プールを備えたノボテル
右:ノボテル内の個室風呂。資源保護のため小さめですが、強烈な硫黄臭の湯です。

 

② モーテル 

 ニュージーランドの温泉めぐりで世話になる機会が多いのがモーテルです。車での移動を前提にした低層の宿泊施設で、通常は自分の泊まる部屋のすぐ脇に車を停められるます。アメリカ映画によく出てくるようなシンプルな宿泊施設です。ロトルアではフェントン通りの周囲に、温泉付きのモーテルが並んでいます。改築されたばかりの真新しい宿から、多少古びてはいるが安く泊まれる宿まで様々です。中には客室温泉付きのモーテルもあります。

 フェントン通りの500メートルほど西、ラノルフ通りにある「テルメ・ホットスプリングス・リゾートTerme Hot Springs Resort」に宿泊したことがあります。日本人夫婦の経営による源泉宿です。名前は立派ですが、実物はペンション風の小ぢんまりした宿です。地下158メートルから湧く硫黄泉を和風の露天岩風呂で楽しめます。

 露天風呂には浴槽が3つ。メインの中央浴槽の両脇に円形浴槽が2つありました。湯はいずれも壁側の源泉槽から注ぎこんでいます。青みがかった灰濁湯で硫黄臭が漂っています。円形の浴槽はぬるめで油膜状の成分が表面を覆っていました。内湯も2室あり、フロントで鍵を借りて利用する方式です。露天風呂より湯の色が少し淡いように感じましたが、白濁した硫黄泉を家族やカップルで独占できるのはありがたいことです。

 客室内に高級感はなく、防音性能もよくありませんが、広さは十分ですし、キッチンもついています。今回の記事掲載にあたってWEBを調べたところ、「一時的に事務所を閉鎖しています」との記述がありました。再開が待たれます。なお、温泉付きモーテルの大半は宿泊客以外の入浴を受け付けていません。

テルメ・ホットスプリングス・リゾートの外観(左)と客室(右)
同じく露天風呂(左)と貸切り用の個室風呂(右)

 

③ ホリディパーク

 ニュージーランドの各地にホリディパークと呼ばれる宿泊施設があります。戸建てのモーテル、2階建てのアパート式、豪華なロッジと形態は様々です。ただ、広大な敷地内に宿泊施設が点在している点は共通しています。他にも、バックパッカー用にベッドを多数並べた雑魚寝部屋や、キャンプサイトを備えたところもあるので、好みに合わせて選びたいところです。広い敷地内に宿泊棟が分散した安めのモーテルといった感じでしょうか。

 ロトルアからタウポへ向かう途中のゴールデンスプリングスでホリディパークGolden Springs Holiday Parkに宿泊しました。客室を選択する際、モーテルを選んだので実質的にはモーテルと変わりませんでした。園内を流れる川や滝が温泉という魅力的な施設です。外来入浴は受け付けていないので、この温泉に浸かるには、宿泊するしかありません。

左:ゴールデンスプリングスの宿泊棟
右:施設内を流れる温泉の川

 

宿は原則素泊まり

 日本の温泉宿では一泊二食付きの料金設定が一般的ですが、ニュージーランドでは素泊まり(ルームチャージのみ)料金での宿泊が基本です。食事は現地で勝手にとることになります。ホテル、モーテル、ホリディパークなどを問わず共通です。たとえば、温泉付きのモーテルに宿泊した場合、町中の宿であれば、温泉街を散策しながら気に入った店にぶらりと入ってもよいですし、食糧を買い込んで自炊することもできます。室内にはコンロや電子レンジ、包丁に食器などが揃っています。周囲に飲食店や商店がないような場所では、食堂が併設されていることが多いです。