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A24 海外の温泉付きホテル⑦ 台湾1:北投温泉

 台湾は海外旅行で人気の渡航先。日本列島や琉球諸島に連なる環太平洋火山帯の島国で、至る所で温泉が湧いています。台湾最大の温泉地は北投(ぺいとう)温泉。台北から都市鉄道(MRT)を利用してわずか30分とアクセスも抜群です。

 台北市内のホテルに泊まって日帰りで訪れる人が多いのですが、できれば北投温泉に一泊してみたいもの。北投温泉の歴史を学べる博物館や日本統治時代の駅舎など、温泉に浸かる以外の見どころも豊富です。北投温泉には数十軒の宿があり、1泊3万円以上の高級宿から民宿風のリーズナブルな宿まで選択肢は豊富です。予算や好みの合わせて気に入った宿をチョイスすればよいでしょう。

左:博物館では日本統治時代の大浴場や畳敷きの広間、ラジウムを含む北投石の巨岩などを見学できる
右:新北投駅を出て右手にある旧新北投駅舎

 その際、注意したいことがあります。北投温泉は主に地熱谷を源泉とする「青磺(青湯)」と、高台の硫黄谷を主源泉とする「白磺(白湯)」の2つの源泉から成り立っています。青磺の主源泉である地熱谷は温泉街の中ほどにあり、pH1.4という強酸性泉です。北投公園内の公共露天温泉や周辺の旅館に供給されています。一方、北投温泉から山側の陽明山に向かうバスに乗ると、草木が生えない荒涼とした風景が目に入ってきます。白磺の源泉地帯「硫黄谷」です。硫黄谷は少し青みを帯びた乳白色の湯で、その名の通り硫黄成分が豊富です。肌の弱い方には、強酸性の青磺より白磺がお薦めです。一方、白磺の湯にしっかり浸かると、肌や衣服に硫黄臭が残るので、注意が必要です。いずれにしてもそれだけ成分が濃厚な湯が台北のすぐ近くで湧いているということを意味します。

左:青磺の主源泉となる地熱谷の巨大な池
右:白磺の主源泉となる硫黄谷の風景

 白磺源泉は温泉街の奥、上り坂に沿って軒を連ねる幽雅路沿いの旅館などで入浴できます。筆者は春天酒店(スプリングシティリゾート)が好みで何度か宿泊しています。二十年以上前に建設された宿ですが、館内は改修されてきれいです。また、料金も北投温泉では中間クラスなのが気に入っています。各客室に専用の温泉浴室を備えていて、部屋にいながら、白磺を楽しめます。また、屋外の庭園には様々な温度の露天風呂が点在し、水着着用ではあるものの、夕食後や朝にのんびりと浸かることが可能です。

春天酒店の外観(左)と一般的な室内(右)
左:客室の温泉浴槽。蛇口をひねったとたんに硫黄臭が漂う
右:湯、温泉、水の3つの蛇口がある
屋外には様々な浴槽を備えた露天風呂ゾーンがある

 幽雅路は急斜面ですが、MRTの新北投駅から宿へ直行するシャトルバスを運行しているので、時間を調べておけば便利です。筆者は宿から歩いて坂を下って温泉街を散策して、帰りは新北投駅からシャトルバスで宿へ戻るというコースが定番です。新北投駅の改札口を出てすぐ左手には、宿のシャトルバス乗り場があり、春天酒店に限らず、幽雅路沿いの多くの宿が専用のシャトルバスを運行しています。北投温泉は台北市内から近いので、ここを基点として、日中は台北市内観光や食事を楽しむことも可能です。

左:新北投駅を出て左側に宿の送迎車(接駁車)乗り場がある
右:多くの宿が送迎車の時刻表を表示している

 春天酒店から少し坂を登れば、歩いて20分ほどで硫黄谷源泉を訪ねられます。ビュッフェ形式の朝食は宿泊料金に含まれるプランが多いようですが、昼食や夕食は温泉街や台北市内で楽しむ人が多いようです。

 北投温泉のエリアは広いので、温泉街のどこに宿をとるかによって、行動のしやすさが変わります。駅から近い宿が人気ですが、その分、値の張る宿が大半です。一見すると駅から遠くても、シャトルバスを使えば、幽雅路沿いの温泉でも何ら不便はありません。料金や立地に加え、大浴場や露天風呂の有無や雰囲気、客室風呂の有無などを調べて好みの宿が見つかるとよいと思います。