世界の絶景温泉

世界の見知らぬ温泉を探して旅しています

A18 海外の温泉付きホテル ① タイ

 以前、「○○温泉ホテル」という名前なのに、温泉施設がないホテルを2回に渡って紹介しました。その際、「海外で温泉のあるホテルに宿泊したいので、むしろ温泉付きのホテルを教えてほしい」という声を頂戴しました。確かにその通りですね。

 ホテルに温泉があると、夕方、夜、朝と何度も入浴できます、パスポートや貴重品をセイフティボックスなどに保管すれば、安心して温泉に浸かれます。温泉付きのホテルは世界中にたくさんありますが、多くの方はご存じないかもしれません。これから何回かに渡って、世界の温泉付きホテルを紹介します。まずは、東南アジアで人気の旅行先のタイから。

 

(1) ナッタワリー(Nattha Waree)温泉:タイ、クラビ県(Krabi)

 バンコクから国内線のフライトで1時間15分。タイ南部のクラビは人気のリゾートタウンです。切り立つ石灰岩の岩壁、生い茂る熱帯雨林、風光明媚なビーチリゾートが共存する不思議な観光地で、数々の有名な映画の舞台になってきました。温泉好きにとっては、クロントム温泉(別名:ホットウォーターストリーム)という天然の石灰棚温泉があることで有名です。

 パムッカレのような真っ白い石灰棚ではなく、全体に黒ずんでいますが、適温の石灰棚はかけ流しの湯滝。快適で野趣あふれる入浴を楽しめます。10キロほど離れた場所には、その名の通り美しいエメラルドプールがあります。タイ語でサ・モラコット(翡翠)の名を持つ緑色の透明な池で、上流から成分の濃厚な鉱泉水が流れ込んでいます。夏場は遊泳を楽しむ人で賑わいます。

左:クロントム温泉の石灰棚
右:遊泳可能なエメラルドプール

 市街地の近くにもクラビ温泉(タイ語でバーンプンBang Phueng)があります。大小さまざまな浴槽と噴き上げる源泉がありますが、地元の人の利用が中心です。肌の露出を好まないタイ人の多くは服を着たまま入浴します。ここから500メートルほど東にあるのがナッタワリー・ホットスプリングス・リゾート・アンド・スパNattha Waree Hot Springs Resort and Spaというホテルです。

 広い園内にはいくつもの温泉プールがあり、それを取り巻くように宿泊棟が建っています。2階建ての1階、2階に各2室。計4室が1棟という構成の建物が、プール周りに点在していました。客室内はシンプルな構成で、ダブルとシングルのベッドが1つずつ配置されていました。

 施設の案内によれば、大きめの温泉浴槽(プール)が8つと、グループなどで貸切りできる小さめの温泉浴槽が20あるとのこと。小型の浴槽には、それぞれ38~49℃の温度表示がありましたが、体感的にはほぼ同じ温度でした(49℃ということは絶対にありません)。湧出口ではかすかな塩味と苦みを感じますが、基本的には無色透明、ほぼ無味無臭の温泉です。海外の温泉ホテルでは、ツアーの場合を除くと、夕食は料金に含まれていないのが普通です。夕食をとってホテルに戻り、時間を気にせずぼんやりと浸かっていると、「やっぱり温泉はいいなあ」と実感します。これは日本の温泉と同じ感覚でしょう。なお、ナッタワリーの意味を尋ねると、「元気づける」「癒す」といった意味とのことでした。

左:観光客は少ないクラビ温泉バーンプン
右:ぬるい温泉を噴き上げる源泉池がいくつかある
左:ナッタワリー温泉の看板。タイ語と英語の表示
右:露天の温泉プールの周囲に宿泊棟が並ぶ
左:小型の温泉プールの1つ。49℃と表示されている
右:客室内はこんな感じ。清潔だが防音性能は低い

 

(2) ボーダン(Ban Bodan)温泉:タイ、パンガー県(Phang Nga)

 クラビ以上のリゾート地として知られるプーケット島。島の北端から北上することわずか15キロの場所に、豪華な温泉付きホテルがあります。施設の名は、ホットスプリング・ビーチリゾート&スパHot spring Beach Resort & Spaと意外と平凡です。広い園内に入ると、熱帯樹林を配したプールが目に入りますが、これは普通の水。さらに進むと左右に、温泉のプールがあります。湯温は40℃前後の適温です。中央部には庇があり、強い日差しや雨を避けられます。南国に適した構造です。石像が湯口となっていて、豊富な湯が常に注入されています。筆者は立ち寄りで利用したのですが、クラビからも車で2時間かかりませんし、プーケットからも近いので、機会があれば宿泊したいと思いました。

左:温泉ホテルの看板
右:温泉プールと水のプールが並んでいる