世界の絶景温泉

世界の見知らぬ温泉を探して旅しています

温泉のガイドブック⑨ アイスランド

 久しぶりですが、国別の温泉ガイドブックの紹介の続きです。極北の温泉大国、アイスランド。面積は北海道の1.2倍ほどという島国で、人口は約37万人。活発な火山帯上に位置するため、たびたび噴火のニュースを目にします。2010年のエイヤフィヤトラヨークトルの噴火では、膨大な量の火山灰がヨーロッパ上空に滞留し、多くの国際線フライトがキャンセルとなるほどでした。火山性の温泉が全土に渡って分布し、統計や資料によって数値はバラバラですが、少なくとも500か所以上の温泉があると思います。人の手が加えられていない野湯がきわめて多いため、野湯好きには憧れの国といえるでしょう。WEBを検索しても30か所程度の温泉情報はすぐに入手できます。日本からの直行便はありませんが、ヘルシンキやロンドンで1回乗り継げば、アイスランドに行くことが可能です。

 私は外国を訪れた際、首都の大きな書店に立ち寄るようにしています。現地の言葉で書かれた思わぬ温泉本をゲットできる可能性があるためです。アイスランドでも首都レイキャビクの書店を訪れ、一冊のガイドブックを見つけました。Skrudda社のThermal Pools in Iceland。英語版とアイスランド語版が並んで置かれていました。

 アイスランド全土を地域別に分け、豊富な写真とともに100以上の温泉を紹介しています。大半は野趣あふれる野湯という魅力的な本です。しかも実際に浸かれる温泉が大半です。各温泉の場所を表すGPS座標が併記されているので、現地でGPS情報を使えるならば、温泉の探索も容易です。

 この本はWEBでも購入可能です。日本版のAmazonでは中古本を2万円近い価格で販売していますが、米国や英国のAmazonではその半額程度で購入できます。出版社のホームページではさらにその半額程度(定価)で購入できますが、アイスランド語のサイトで申し込むため、ハードルが高いかもしれません。私は海外の温泉本をときどき購入するので、Amazon.com(米国版)の会員になっています。現地で購入した際の価格はというと、3,999アイスランドクローナ(=4,343円)でした(上の写真に値札が貼られています)。

 この本を見つけたのは現地に滞在中で、残りあと2日の時点だったので、この本を参考に新たな温泉を訪れることはあまりできませんでした。アイスランド北西のウェストフィヨルド地方には魅力的な温泉が多く、目を奪われました。「いつかアイスランドを再訪しよう」と決意しましたが、実現しないうちにコロナ禍が始まってしまい、今に至っています。

 アイスランドで最も有名なのは乳白色のブルーラグーン温泉です。首都レイキャビクとケプラヴィーク国際空港の中間にあり、バスでもツアーでも行くことが可能です。多くの間欠泉が集中するエリアには、噴出間隔が短くて観察しやすいことで人気のストロックル間欠泉があります。また、月面のような荒涼としたエリアや車での渡渉など、アドベンチャードライブで訪れるランドマンナロイガル温泉も人気があります。これらの3つの温泉はレイキャビク発着のツアーで訪れることも可能です。

 しかし、それ以外の大半の温泉は、車がないとアクセス困難なため、レンタカーの利用が必須です。英語を話すドライバー付きの専用車手配も可能ですが、台数が少なく、昨今の物価高・円安もあって、一日10万円近くはかかると思います。レンタカーを借りる場合、アイスランでドはマニュアル車が中心で、オートマ車は少ないので、オートマ車を希望する人は早めの予約が必須です。しかも未舗装路を走らないと着けない温泉が多いので、できれば四輪駆動車を借りたいものです。私は日本で四輪駆動車を運転したことがなかったので、事前にレンタカーを借りて練習してから臨みました。

 アイスランドは6~9月の短い夏に観光客が集中するため、フライト、宿も含めて早めに確保する必要があります。この時期はすべてが割高です。私が訪れた7月は白夜に近く、夜は1日2時間以下でした。このため、「明るい時間の野湯探し」がほほ一日中できるので、次から次へと回って、体力をひどく消耗したのを覚えています。何ごともほどほどが重要ですね。冬場はオーロラ観光が人気ですが、一日の大半が夜ですし、有名な温泉を除いては雪や氷でアクセス不能になるので、温泉巡りには適しません。

左:雄大な景色の中を走り、好きな場所に行ける点でレンタカーのメリットは大きい
右:クヴィカ温泉。「浴槽」は直径1メートルほどと小さく、全身浴はできない

 上述のガイドブックで発見して訪れた温泉の一つがクヴィカ温泉です。レイキャビク市内からほど近い海岸線に手水鉢のような小さな温泉池がありました。足湯として楽しむにも小さく浅いので、手湯が精一杯でしたが、かけ流しのユニークな温泉でした。また、フルンの野湯を訪れた際は、GPS情報を参考しました。ただし、周囲は一面の牧場で、「道」がはっきりしません。牧場を迂回しながら少しずつGPSの目標値に近づきましたが、最後は車を降りて10分ほど歩いて行く必要がありました。

左:フルンの温泉。ここに車を停めて歩いて行く
右:一部小屋掛けのフルンの野湯。右奥にも別の浴槽がある

 アイスランドを早朝ドライブしていると、至るところで蒸気が見え、地図にもガイドブックにもない温泉を「発見」できます。また、目的の温泉を目指して歩いていると、途中のホテルの庭に温泉プールがあるのを「発見」します。どこもかしこも温泉だらけで、頻繁に寄り道してしまい、目的地が遠くなります。できれば一か月ほど滞在して、すべての温泉を回ってみたいという気になりますが、実現できそうにありません。温泉好きの人なら、必ず満足してもらえる国だと思います。

レイキャビクから車で東へ向かう際に、道端で見つかった名もなき温泉:マップで地名を調べると、クヴェラドゥルム(左)、ヘトリスヘイジ(右)だった。
多くのエリアでは温泉水が各戸に供給されているため、温泉プールを設けた宿も多い。WEB情報等は事前になかったが、クヴェラクヴァムミュルのゲストハウス(左)とレイルバッキのミニホテルの裏で温泉プールを発見した。ともにレイキャビクの東にあった。