世界の絶景温泉

世界の見知らぬ温泉を探して旅しています

A4 温泉のガイドブック② オーストラリア

 ニュージーランドに続き、オーストラリアの温泉ガイドブックを紹介します。Australia’s Great Thermal Wayという本です。現在は第6版が発売され、専用のサイトhttps://greatthermalway.com/ で購入できます。私が購入した版では44の温泉が紹介されていましたが、今は67まで増えているようです。ただ、オーストラリアの面積は日本の20倍もあるので、隣の温泉まで200キロや300キロということがしばしば。公共交通手段は整備されておらず、レンタカーが唯一の手段です。また、シドニー、メルボルン、ダーウィン、パースなどを起点にそれぞれのエリアの温泉を訪ねようとしたら相当な日数が必要です。

 この本を参考に、北部のダーウィンを起点に温泉を巡った際の話です。マレーシアのクアラルンプール乗り継ぎが便利だったので、マレーシアの温泉巡りと合わせて計画しました。ダーウィン到着は午前3時半。入国審査官から「目的は?」と聞かれたので、「観光です。温泉を巡ります」と答えると審査官の目がきらりと光りました。他に到着便がない時間帯でヒマだったのか、不審に思ったのかわからないが、質問攻めが始まった。「オーストラリアに温泉なんてあるのか」「どうやって知ったのか」「温泉は他の国でも訪れたのか」と矢継ぎ早の質問。こちらもいきなり眠気が覚め、臨戦態勢です。やりとりを続けた後、審査官にこのガイドブックを見せると、「こんな本があるのか」と驚き、入国は承認されました。なお、審査官は本の出版社名を確認していました。

左:Australia’s Great Thermal Wayの表紙
右:スチュアートハイウェイはこんな道が延々と続く

 空港そばのホテルにチェックインして数時間の仮眠のあと、レンタカーを借りて出発。オーストラリアは日本と同じ左側通行なので、違和感はありません。旅のお目当てはキャサリンKatherineとマタランカMatarankaの二大温泉。どちらも流れる川自体が温泉です。途中、キャサリン温泉に立ち寄り、マタランカ温泉で宿泊します。マタランカ温泉までは430キロ。東京から京都くらいまでの距離と同じです。

左:服を着た巨大な蟻塚がハイウェイのアクセント
右:キャサリン温泉の川湯

 ダーウィンからオーストラリアの南岸まで縦貫するスチュアートハイウェイ(A1)の制限速度は時速130キロ。何もない道をひたすら走り続けますが、時折カンガルーを見かけたり、巨大な蟻塚があったりします。誰が着せたのか、蟻塚は服や帽子を着用していて、日本人にはお地蔵さんを思い出します。マタランカ温泉はモーテルタイプの宿。受付で部屋の場所を聞いて、部屋の前まで車で行きます。寝るだけのシンプルな部屋。エアコンのスイッチの場所が高すぎて、椅子の上に立たないと押せません。とはいえ、流れる川の温泉に入り放題なので大満足です。日中は日帰り客が多いものの、朝晩は貸切りのように利用できます。雨季で増水すると、ワニが温泉の川に入ってきてしまうことがあり、入浴禁止となるそうです。ぜひ乾季(5~10月)に訪れたいものです。

 翌日は、ベリーBerryスプリングス、ビターBitterスプリングスに寄って、ダーウィンへ戻りました。どちらも冷泉が湧く天然の池ですが、暑い夏には最高です。日数に余裕があり、未舗装路を走るのに慣れているならば、ダーウィン近郊には他に5つの温泉、冷泉があります。

左:マタランカ温泉の川湯
右:ワニのため温泉プール中止・水泳禁止の看板(この時は裏返しで置かれていた)